After -deconstruction "God Ideology"



 それでもしばらくしていると,洞窟の中を流れる川のところに出た.

火山の近くというよりも中を流れているにもかかわらず,湯気を立てていない.

かといって洞窟の中が暑くないというわけではない.

加えて,この川が真水の川であるということもないようである.

聖神はマテーラが盛んに吠えているのが気になった.

あたりをもっとよく見てみると,地面と水面の境には湯の花のようなものがこびりついていた.

「ここは過去には…いや,今も冷たい温泉が流れている.」

冷たいと表現するのには,それなりの理由があった.

近くに行くと涼しいのだ.

どの神もこぞって川の近くへと吸い寄せられるように近づいていった.

「あれはシモバラ草(※)じゃないのか?」
★シモバラ草:主に廃村の近くで多く見られる毒をもつ針がある有害植物.敵を減らすために意図的に植えることはある.

雷神の視覚には,その独特な毒を持つ草を捉えていた.

「シモバラ草…?

 何だそれは?」

土神は興味を示しながら雷神に聞く.
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