After -deconstruction "God Ideology"



 「そう,私は無,いや,独立の神である.

 神という表現は好きではないが.」

(思い出した.

 確かフィリティカルの牢屋からミナトシティまで僕を運んでくれた人だ.)

「独立様,こちらの…カハシさんとはお知り合いなのですか.」

青年はよくわからなさそうに首をかしげながら聞く.

「まあな,こいつはもう普通の人間だ.

 ネコハク,お前もわかるだろう.

 魔法使いの使命が必ずしも楽ではないこと,そして自分ではどうにもならないことが.」

ネコハクと呼ばれた青年はただ,振っていた首を下に向けた.

「これから少し出かけてくる.

 すぐ帰ってくるつもりだ.

 カハシはもう大丈夫だ.

 心配なら,お前の回復魔法でも使ってやればいいだろう.

 帰ってきたら,カハシと一緒に旅立つ.

 準備をしておいてくれ.」

独立神はそれだけを言い残して消えていった.
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