After -deconstruction "God Ideology"



 水は冷たかった.

はじめは苦しかったが,次第に楽になっていくのがわかった.

しかしカハシは楽になったと同時に気を失うことなく,強く想った.

(この超津波を止めてください…)

[お前は…誰だ…ん?

 確か術者は………どういうことだ.

 水神が二人もいる.]

(僕はもう水神ではなくなってしまった……)

[そんなことは無いはずだ.

 水神は血統だ.

 お主の子どもなど見ておらんぞ.]

(星様と月様が僕の代わりの水神をつくったのです.)

[となるとあそこで我らを呼んでいるのは,星月のつくった神というわけか!

 何という奴らだ.

 神をつくるなんて事を,しかも我らに無断であんな事をしでかすとは不謹慎にも程がある.]

(このままでは,この星はなくなってしまいます.

 お願いします.

 これ以上は止めてください.)

[そうはいかん.

 我らは呼ばれてしまったのだ.

 ……もしかして我らを呼んだのが星月のつくった神か?]

(たぶん,そういうことだと思います.)

[何をやっておるのだあいつらは.

 この星を動かしているのは我々ひとりひとりであり,あいつらのものではない.

 目にモノを見せてくれるわ.]

(お願いです.

 人間を…この星を飲み込むのだけは,やめてください.)
< 276 / 295 >

この作品をシェア

pagetop