After -deconstruction "God Ideology"



 世界は冷静さを取り戻しつつあった.

各政府はこの事態がいったいなんであったのか,それを捜して右往左往していた.

フリティカルのナンバー2であったヤルサ兵器工場長は,ジム国王の死が確認された事を受け,今やナンバー1である.

その彼がマホウビトがこの事態を引き起こしたという,マホウビトによる虐殺説を唱えた.

はじめはフリティカル国のあのマボウヒト裁判につながる政策だろうということで,他の国も相手にすることはなかった.

とはいえ,それよりも有力な説が出なかったことから,一番有力な説になった.


 そしてそれからしばらくしない間に事態が変化した.

オキガミ村の奥地からフリティカルの脱走者が発見されたのだ.

その男は衰弱していたものの,まだ息はあった.

フリティカルはガゴスに男を引き渡すように迫った.

ガゴス国も特に渡さない理由もなかったので,すんなりとフリティカルに引き渡された.


 男はマホウビトであるという罪だった.

今回の災難がマホウビトによって引き起こされたものであるとするなら,フリティカルの行動は正しかったことになる.

少なくともこの男を死刑にする理由の一つとしては優秀であることは間違いない.

国の威信をかけてでもヤルサはマホウビトが引き起こした事を立証したかった.

だからヤルサ自らマホウビトと会うことに決めた.
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