After -deconstruction "God Ideology"



 そのマホウビトが発見されてからちょうど30日後,フリティカルで各国の裁判官を招き,ある裁判が行われることになった.

法廷には魔法の力を減退させる香がたかれ,マホウビトの暴走を押さえられるような工夫がしてあった.

法廷内はその匂いと各国からこの光景を見にわざわざ足を運んできた人でいっぱいだった.

「これから開廷する.

 まずは聞きたい.

 お前はマホウビトか.」

中央に座っているフリティカルの裁判官が抑揚のない声で聞く.

「いいえ,私はマホウビトではありません.

 でも…」

場内から野次が飛ぶ.

「私はあの津波が終わるまではマホウビトでした.」

場内にはどよめきの声も上がる.

「この時点でフリティカルの法律に違反しているが,ここではその罪について問わないことにしておこう.

 聞きたいのはわかっていると思うが,例の津波のことである.

 率直に聞こう.

 津波を引き起こしたのはお前か.」
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