After -deconstruction "God Ideology"
 不意に鐘がなった.

それは閉廷を知らせるものだった.

「時間にて,これにて閉廷とする.

 判決は明日の朝,法廷の入口にて発表する.

 なお,判決を決めるにあたっては,フリティカルだけではなく,他国の裁判官の意向も取り入れ,マホウビトであるだけの理由で死刑に処しないよう,最大限の配慮をする事を誓おう.」


 男は兵士に付き添われながら,法廷を後にした.

法廷の外ではアンチマホウビトを訴える人たちで渦巻いていた.

男は外にいる市民の掲げた板と眼が合った.

「NOマホウビト」と書いてあった.

呆然としていたが,兵士に無理やり体を引っ張られた.

警官もいたが,国王の政策ではないからか,何もしてくれなかった.


 翌朝再びマホウビトは連れ出された.

まだ判決を自分の目で見てはいなかったが,周囲は昨日以上に盛り上がっていた.

人々は喜び,踊っていた.

痛い.

石が男に当たった.

それを気にしている人は誰一人としていなかった.
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