After -deconstruction "God Ideology"


 次の日の朝,船は何とか港に着いた.

ところがペテルークではなく,ジュタヴィレストである.

船はジュタヴィレストで簡単な荷造りをして,ジュタヴィレストに用がある人を臨時で降ろして,再びすぐ出航した.


 ジラスはまた,いつもの船の上にいた.

その日は昨日が昨日だけだったからか,甲板には多くの人がいた.

そんなうちの1人で,詩人風の男がジラスに話しかけて来た.

「何とか無事でよかったですね.」

「…まあ,何とか.」

ジラスはちょっと辛そうに答えてみた.

ジラス自身,昨日の嵐で,例によって少し酔ってしまったようだ.

昨日までのような気分ではない.詩人は話を続けた.

「このジュタヴィレストとペテルークにまつわる恋の話を知っていますか.」

ジラスは首を横に振った.

潮風が少し弱くなってきた.

「昔,リアリングストーン,地域や人によってはリアリングストーンと呼ぶ人もいますが,それよってこの地方を破滅させ,そして同時に救出したジュレヴの友人,リーフの話なのです.」
< 36 / 295 >

この作品をシェア

pagetop