After -deconstruction "God Ideology"

　そしてすぐに別の事務の人だろうか，机をもう1つ持ってきた．

ジラスは少し気分が引いた．

話に聞く拷問ってこういうことかと思った．

もう逃げられないと決意して，椅子に座った．

ジラスの着席を確認すると，すぐに授業を始めた．

「それでは授業を始めます．

　今日は魔法のお話です．

　これはカハシ君も初めてですね．

　丁度いいですね．」

何が丁度いいのかジラスはわからなかったが，先生のほうはというとすぐに本題のよくわからない魔法について延々と語り始めた．

ジラスは退屈でしょうがなかった．

ジラスが今まで身につけてきたことと言えば，身体に覚えさせる類のことばかりだった．

自分を守る方法とか，農耕の方法とか，そういうことである．

ジラスはさっき先生がカハシと呼んでもう一人の生徒を見た．

カハシは自分とは対照的に机にかじりついていたように見えた．

寒気を覚え，すぐに目を外した．

教室には窓があった．

そこを見ると，外はきれいに晴れた空と港を臨む建物やその奥にある海だけが見えた．

「（しかし，今頃キャサは何をしてるんだろうな．）」

それから先生が今日の授業はここまでという内容のことをいうまで，ずっと外を見ていた．

なぜ生徒が2人しかいないのに，注意をしないのだろうか．

カハシは逆にそう思っていた．

先生はすぐに出て行ってしまった．