After -deconstruction "God Ideology"



 星は水(カハシ)の頭のぼさぼさの髪を整えてあげるように1本1本撫でてあげた.

一方水のほうはというと,何もいわず,ただただ震えているだけだった.

その震えはよくある寒さからくるものではなく,恐怖から来るもののようだ.

儀式前の下女がいっていた「気持ちいい」は少なくともカハシには当てはまらなかったようだ.

「あなたをこれから水の神として認めます.

 これ以後世界の維持に尽くしてください.」

星神は事務的にそう言うと,水の身体をぎゅっと抱きしめた.

そしてその後水の身体をまるで何かをお願いするかのように,撫で続けていた.

もう水は震えを通り過ぎていて,そして意識を失っていた.

「そこの下女,後は任せたわよ.」

そう星は言い残すと【ナルカ】を唱えたわけでもないのにさっと消えて去ってしまった.

後にはまるで宇宙空間のような時間と空間が漂っていた.

下女はあらかじめ用意をしておいた移動可能なベッドにやや重い水をいとも簡単に載せた.
< 85 / 295 >

この作品をシェア

pagetop