After -deconstruction "God Ideology"
勢いのある,説得力のある,政治家のような演説だった.

しかしどこにもその姿はなかった.

見えなかった.

いるという雰囲気もない.

まるで心の中から響いていく感じだと,どの神も言っている.

火神は下女に相談してみた.

下女はいつものように疑いのない澄切った声で答えてくれた.

「まあ,それはとてもいいことですわ.

 きっとその話を星月様になされたら,きっとお喜びになるでしょう.

 火様のお考えが星月様によく似ていらっしゃる証なのですから.

 外から聞こえてくるようではまだまだなのです.

 星月様の存在そのものと火様がトランスレーション,つまり同一化したのです.

 もっと喜ぶべきことなのですわ.」

火神はどちらかと言えば言いくるめられたような感じも否めなかったが,とりあえずいいことだと納得して自分の部屋の方へと下女を従えて足早に歩いていった.
< 95 / 295 >

この作品をシェア

pagetop