After -deconstruction "God Ideology"



 水神はその頃,書物庫にいた.

水の下女にこの場所とか,全然状況が読み取れないということを打ち明けると,下女がこの書物庫の存在を教えてくれた.

どうやらあの星月様も時々使っている施設らしい.


 この神殿はかなり広く,水神はまだ全部把握していない.

水神の部屋から書物庫までは歩いて5ノーゼ程かかった.
★ノーゼ:この世界で使われている時間の単位の事.1ノーゼはほぼ1分である.

廊下も広く,ゆったりとしているものの,壁の配色が水神の興味を失わせるようなものだった.

目まぐるしいほどいろいろな色がぐるぐるどぎどぎとしているからだ.

下女曰く,この配色は各属性神のシンボルカラーの融合であるらしい.

水神は水色が赤や黄色と混ざった壁を見てしまう度に嫌悪感を感じた.


 それに比べて書物庫は水神の好印象を得た.

それは過去に住んでいた家と雰囲気が似ていたからだ.

壁の色や匂いまで良く似ていた.

今は下女を従えて書物庫の中にある木の机に向かい合って座っていた.

「ああ,一体どうすればいいんだろう.

 何から知るべきかな.」

水神はためらいながら,下女に相談を持ちかけた.

下女はわかりきったようにそのまま話した.

「…,どうでしょう?

 『結石界』をご存知でしょうか.」
★結石界:神々の住まう神殿のある場所.別名マジックヴィレッジ.そのほか,神が神である証拠という意味もある.証拠は属性で違っていて,例えば火神は火呪の指輪を拾った者であるし,水神は血縁である.

「ううん,知らない.」
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