キミと青空。 ~私たちの青春を~

*正弘side*




俺と蓮は、5才になるまでお互いのことを全く知らなかった。

俺は、蓮という義理の弟がいることも知らないまま、普通にお父さんとお母さんの三人で幸せに生活していたんだ。


特にお母さんとは、ほんとに仲がよかった気がする。

ある日、俺は家族三人で遊園地に遊びに行った。


その日は俺の5才の誕生日。

『ねーパパ! ゆうえんちつれてってよ!』

いつも仕事で忙しい父に、俺は何度も何度も駄々をこねた。


『仕方ないなあ。よしっ、じゃあ正弘の誕生日に行こうか』

『やったあやったあ! ありがとうパパ!!』


うるさいほど喜ぶ俺を見て、父も母も、顔を見合わせて笑っている。


そうして待ちに待った誕生日の日、遊園地に来たのはいいものの、俺はまず何に乗ろうか真剣に悩んでいた。

父はトイレに行っていて、俺は



『まさくん、なんでもいいから早く乗ったら?

そしたら、いーっぱい遊べるよー?』


『んー……。

でも、迷うよ~……』


俺は遊園地内をぐるりと見渡す。

すると、遠くに風船を配っているウサギがいるのに気づいた。


『あっ、ウサギさん!』


俺は、無我夢中で走り出していた。


その日はあいにく日曜日。


いつもよりも、人が多かった。


『どうぞ』

『ありがとう! ママ! 見て、ふうせん……』


ウサギから風船をもらって満足した俺は、くるりと振り返る。

目の前には、人、人、人。


そのなかに、母はいなかった。

『ママ……? ママ……ママ、ママ!! 』


俺は、涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら母を探して走り回った。


『どうしたの?』


後ろから聞こえた優しい声。

そこには、知らない女の人と男の子が立っていた。

『お母さんは?』

『うっ、うわ~ん!! あ~! ママぁ~!!』


急に泣き出した俺を見て、目の前の親子はおろおろしてる。

『ほっ、ほら、一緒にお母さん探そうか?』


そうして一緒に探しだしてから30分。

『……ひろー! 正弘ー!!!』

どこからか、父と母の声が聞こえた。
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