キミと青空。 ~私たちの青春を~
ダブルデート
空を見上げるともう日は落ちかけていて、辺りはオレンジ色に染まっていた。
屋上から見る青空もいいけど、こういう空も、私は好き。
空を見上げながら一人そんなことを思っていると、急に隣で歩いていた百合が『あっ』と声をあげる。
私は驚いて、どうしたの? と聞こうとしたけど、私が言葉を発する前に百合が大きな声で言った。
「学校の近くに新しいショッピングモールできたの知ってる?
今からそこ行こうよ!」
最近新しくショッピングモールができたのは、私も知っていた。
たしかに前から行きたいと思ってたけど……なんかこれって……
「なにそれ。ダブルデート的な?」
蓮くんが抑揚のない声で言った。
そう。そうなんだよ。
これっていわゆる……ダブルデート!?
彼氏って言ったって、正弘は、ニセモノの彼氏なのに。
少し、ドキドキしている。
でも……と ふと思った私は、スカートのポケットに入っていたスマホを取り出す。
画面の正面にでかでかと表示されているそれは、7時20分を指していた。
今はもう七月。
日はだんだんと長くなってきているから7時でもまだ明るいんだけど……
「今日はやめた方がいいんじゃね? もうすぐ暗くなるし」
正弘は私と同じことを考えていたようで、右手にはスマホが握られていた。
「そっか~……そうだね。残念……」
言葉通り、本当に残念そうな声でがっくりと肩を落としている百合。
そんな百合を見ていたら、私はとっさに言葉を発していた。
「じゃあさ、今週の日曜日にでも行かない?
そっちの方が時間もたっぷりあるし!」
三人の視線が『え……?』とでも言いたそうに、私に集まる。
やらかした……。
そりゃそうだよね。
さっきまで『これってダブルデート!?』みたいな感じだったくせに休日に四人で遊びにいくなんて余計ダブルデートじゃん!
「ごめん、やっぱい「いいね! そうしよ~!」
百合が、パチンと手を叩いて笑顔で言った。
……え? いいの?
蓮くんも正弘も、日曜日に遊びにいくことに賛成してるみたい。
私は内心、心の底からほっとしていた。
と同時に、やっぱりこれはダブルデートだと一人で慌てていたことは、たぶんみんな知らない。