漆黒の白雪姫。【完】
「趣味悪いわね」
「そう?結構楽しいんだよ?」
いや、同意を求められても困るんだけど。
居たたまれなくなって、視線をずらした。
とその時、シュッという音と共に首もとにひんやりとした物が当てられる。
ひゅっと喉が鳴った。
「……………っ、」
床を見ると、さっきまで刺さっていたナイフの姿はなく、ちょうど首もとにある。
灰色の瞳は、五センチほど先。
近くにある綺麗な顔はつまんなそうに顔をしかめていた。
「つまんないなぁ」
抵抗して騒げ、と言いたいのだろうか。
「………ここまでしたのなら、さっさと首を切ってちょうだい」
「死にたい人を殺しても、面白くない。そもそも、首を切るなんていう殺し方はセンスがない」
「ふーん。なら、どういう殺し方がセンスがあるの?」
「そうだなぁ。極力意識を残して、軽く刺していく。飽きたら、体をバラバラにしてー。あ、ここでもう首ちょっきんだよね?」
だから、同意を求められても困るだってば。
「狂ってるわね」
狂っている、というより歪んでいる。
「ということで、俺は今の君を殺すのは萎えるんだよね」
殺し屋なんでしょう?そんなんでいいの?
私情入りまくりじゃない。
「じゃあ、あなたはどうしてくれるの?」
あなたはどうやって、私を殺してくれるの?
「君を壊してから、殺そうかな」
楽しそうに君は、目もとを綻ばせた。