封印の虹 Vivid army
「陸軍は人数足りないし海軍は資材も人数も足りないし……」

奇跡的に生き残った皆川さんはそう言っている。生き残ったけど、体に火傷の痕が残る。

「最悪の事態になるかもな」

鋼打さんが暗い声で言った。

「最悪の……事態……?」

まさか、人類が滅んでしまうとか……

「俺たちの世代はまだましな方だったんだ。昔はラストとの戦いで八割が死んでいた。もっと昔は食べ物も何も無くなって苦しんだ……」

聞いたことがある。レジェンドと呼ばれる人たちが現れてから生存率がグッと上がったって……最初は討伐に行ったら死を覚悟しなければならなかった……

「桃心ちゃん、お願い。白旗の力でみんなを助けて!」

「皆川さん……」

私が頑張らなきゃいけないのは分かっている。けど、責任が重すぎる。弱音を吐きたい。けど、こんな状況で言えない。

「桃心、責任重大だね。私と同じ年なのに凄いなあ。」

愛恩が少し寂しそうに言った。

「やっぱり、桃心は特別な子なんだね」

違うって言いたかった。そんな……寂しい、羨むような目で見ないでほしい。けど、耐えきれなくなって外に逃げ出してしまった。
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