封印の虹 Vivid army
「水麒さん、影見さんがどこにいるか知りませんか?」

「影見さん……?何故あなたがその人の事を……」

水麒さんは驚いていた。影見さんってどんな人なんだろう……

「えっと……ちょっと届けなきゃいけない物があって……」

「僕が代わりに届けましょうか?」

「ぜっ絶対に私が届けろって言われているので……!」

焦って不自然なことを言ってしまった。

「そうですか……影見さんは陸軍の領域内にいるのは分かっていますが、詳しくは知りません」

「ありがとうございます」

陸の方にいるのか……他の人にも聞いてみよう。

他の人に聞いてみると、知らないと言われたり嫌な顔をされたり……でも、やっと影見さんの居場所がわかった。

「栄理花ならこの道を真っすぐ行って、つきあたりの部屋にいるわ」

ラリマーさんが教えてくれた。

「ありがとうございます!」

「どういたしまして」

私達は真っすぐ歩いて、部屋の前にたどり着く。ノックするとどうぞと声がした。美理矢君がドアを開けると埃が舞った。

「ごめんなさい、最近掃除してなくてね……」

薄暗くてせまい部屋から、真っ黒な長い髪の女の人が出てきた。額に黒い三日月の模様、左目に黒い星の模様がある。

「今日はどうしたんだい?」

影見さんは低くくぐもった声で聞いた。

「僕の父……竹林 入矢について教えてほしいのです」

美理矢君は影見さんと対照的にハッキリと言った。

「……分かった。しかし、私の視点で話すからあまり平等とは言えない。お父さんの事が嫌いになるかもしれない、それに……残酷なことを話すよ」

「構いません」

美理矢君の目に迷いは無かった。静かな部屋で影見さんが話し始める。

「私の記憶に入矢が出てくるのは……私がまだ士官学校の学生の時だ……」
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