封印の虹 Vivid army
その後、私は梅田達に命令されることが多くなった。例えば、あの男子に話しかけてきてとか、あの教官に挨拶して来てとか。最初は意味がわからなかった。けど、だんだんからかわれていることに気が付いた。

美月へのいじめは終わらなかった。歩くのが遅いと言って蹴ったり、着ている服を馬鹿にしていた。

そんなとき、時々だが庇っていた。廊下を走ったからと怒られた時、私が急かしてしまったからなんだと言ったり。まあ、本当に私がせっかちで走ったからこうなったんだからね。いじめられているのも私が悪かったんだから自分を狙えばいいとも思っていたよ。

お前は何も言うなと言われてしまった。その当時の臆病な私はそれ以来庇うことは無かった。
松原達とも次第に疎遠になっていった。

この当時、士官学校は三年間だった。二年生が終わりに近づいた頃、疎遠になっていた松原が話してくれた。


強引に連れて行こうとしたあの日、誰をいじめるかの話し合いがあったと。私の世代はこのころから荒み始めていた。
そこで織雨がいじめられることになり、その場にいなかった私も少し遊ばれることになったらしい。

松原は謝った。あの時連れて行けばこんなことにはならなかったのにと。
私は、教官を待つ方を選んだのはこっちだから気にするなと言った。そして、いじめるのは嫌だろうから、私も終わる様に協力すると言った。
松原は優しいんだねと言った。

しかし、私は終わらせることが出来ず、最悪の事態へと発展した。
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