封印の虹 Vivid army
出産は命がけで、昔は死んでしまう人も少なくなかった。それを、十七歳で乗り越えられるのか?と思った。子育ては自分の事も犠牲にしなければならない。堕胎するのは残酷だが、無責任に生み、二人に不幸な人生を歩ませるのも残酷だと思うのさ。

まずは、誰が父親なのかを聞いた。

松原は嬉しそうに、竹林だと答えたよ。竹林は妊娠したことについてどう思っているのか聞いてみた。すると、喜んでいたと言った。
私は喜んでいるのも最初の内だろうと思った。いずれ、周りの目に耐えられなくなり堕胎させようとする。

そういえば、梅田は竹林のことが好きだったことを思い出した。そのことを、遠回しに聞いてみたんだ。
妊娠したことを知って梅田とは別れてくれたと、気まずそうに言った。ということは浮気をしていたということじゃないか。

松原は、二人の愛の結晶だから、絶対に産むと言った。私は、梅田に見せつけたいからか!?竹林を独占したいからなのか!?と、声を張り上げて言ってしまった。


松原は、この世界には綺麗なものがたくさんあるから、見てほしいと思ったのと言ったんだ。人は誰かを愛し、希望を見つけながら生きていく、それは素晴らしいことだって知ってほしいと。

松原と私は見ている世界が違うんだと思った。灰色の堕落した世界、地獄絵図、それをそのままにしか見れない、憎しみと悲しみ、それを糧にし一時の栄誉を手に入れた自分とは違った。

そして、優亜は重大なことを話してくれた。


この子を産んだら自分は命を落とすことが決まっていると。

fall downとLost paradiseを融合させた液体を傷口にかけられたという。
誰がそんなことをしたんだと聞くと、赤い目の男だという。ピジョンだと確信した。そんなことをする赤い目の男なんてピジョン以外考えられないからね。

私はそのことを聞いた後、すぐにピジョンのところに行った。もう少し時間をくれ、絶対に成功させるからと言って、外に出られる時間を延ばした。
そして、元魔術部隊の秘密研究に行って、地下倉庫から魔力兵器の原料を取り出した。
fall downとLost paradiseは、上手く融合させれば即死させる程の力も持っているのさ。ピジョンの薬に足りなかった物、それは、一定の割合の精製水だよ。

期限ギリギリまで止めるふりをした。そして、結果を聞いてくるピジョンを魔力兵器が入ったプールに突き落とした。
場所は地下の倉庫だから気付かれない。これで、妨害する奴はいなくなったと喜んだ。
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