封印の虹 Vivid army
そして、とうとう薬は出来ないまま優亜が分娩室に入ったと知らされた。私はすぐに病院に向かった。

魔力兵器なんて開発しなければよかったと思ったよ。純粋な心で二人の無事を祈れなくなるなんて、開発するときは想像もつかなかった。
罪人なのに、元凶なのに神に祈った。

結局、優亜は助からなかった。しかし、無事に美理矢は生まれてくれた。

感動してその場に立ち尽くした。しばらくして、美理矢が生まれたから、もう私に外にいる理由は無いと思って特別施設内に帰ろうとした。
しかし、一人の看護士が私を呼びとめた。どうやら、優亜から伝言があったらしい。私は別室で聞くことにした。

移動するとき、新生児室にいる美理矢をガラスごしから見た。少し、他の子と違う雰囲気だったよ。そして元気そうで安心したよ。

その後別室に来て、伝言を聞いた。何と美理矢を育ててほしいということだった。優亜は竹林が死んだことを知っていた。私以外の誰かが言ったんだろうね。

私は無理だと言った。いつ死ぬか分からない。それに、こんなろくでなしに育てられたら性格が歪んでしまう。
看護師は、そうですかと言った。でも、面会は上も許可したことを教えてくれた。


私はたびたび美理矢に会いに行った。顔は覚えられない頃に。死刑囚のことなんて覚えなくていいからね。
< 119 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop