封印の虹 Vivid army
次の日、電車に乗ってセント・ウィッシュボックス町に行った。

朝早くに暖かい感じの茶色と深い緑色の電車に乗り込む。椅子に座った後、頬杖をついて窓の外を見る。
近代的な街を抜けて、少し民家が多くなった町から畑や山が多くなって、私の故郷に近づいていることが分かった。

その間も考えていた。私はこれからみんなを助けることができるのか。特別扱いが嫌だからって逃げたりしてしまう私が……

親友も好きな人も出来て、私……死にたくない。空操禁書討伐作戦の時に、苦しみながら死んでいった人、何かを言い残すことも出来ず一瞬で死んだ人。私はもう二度とそんなことが無い世界にしたいと思っている。けど、自分が死ぬのは……!

次の瞬間自分がどうなるかなんてわからない。そう考えると怖くなる。もしかしたら、自分が生き残るために誰かを見捨てて逃げてしまうかもしれない。こんなことを考えてしまうなんて臆病で卑怯で恥ずかしい事だと分かっている。けど、死にたくない。

愛恩たちともっと一緒にいたい、美理矢君に自分の気持ちを伝えたい、お母さんに……ありがとうって言いたい。
駅を降りて、無事に家にたどり着ければお母さんにお礼を言う事ができる。

私が死んだら、お母さんは泣いてくれるのかな。皆、悲しむのかな。
やっぱり私、死にたくない。命がけで皆を守れない。
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