封印の虹 Vivid army
電車を降りて、切符を渡す。私が入学するときに、この駅から旅立ったことを思い出して懐かしく思った。その時のお母さんを今でも忘れられない。

「なんか、昨日までいたところと全然違う」

愛恩が重そうな荷物を抱えてそう言った。嫌なこともあったけど、懐かくって安心する景色。帰ったら、次は戻れなくなりそうで怖くなってしまう。

家は山の方にあって、駅まで少し歩く。けど、訓練に比べれば大したことない。
荷物を背負いなおして、歩き始めようとした時、昔に私を仲間外れにしていた子たちがひそひそと話していた。

「この時期に帰ってくるって……やめたのかな?」

「単に帰省してきただけかもしれないよ」

「やめていたとしても、一度はラストと戦って生き残ってるってことじゃん、凄い。もっと仲良くしときゃよかったよ」

仲間はずれにしていたのに、戦ったら凄いとか言う。こういう人たちって信じられない。
そのまま家に向かって歩いていると、いつの間にか家の前に来ていた。

「ここが桃心の家……」

木造で、桃色のペンキが少しはげた、クモの巣が張られている家。

「うん、何かボロくなってる気がする。最後に見た時は、新しくは無いけどもっと可愛いさが残ってたよ」

私が祈望軍のところにいた期間は長かったのかな?自分ではもっと短く感じたんだけどな。
< 127 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop