封印の虹 Vivid army
あれから、名前の由来を聞くのを忘れてた。一回思い出したのに他のことをしていたら忘れてしまった。

夜ごはんを食べた後、窓からお月さまを見ていた。

「おっ今日は綺麗だね!」

お母さんが隣の椅子に座る。そうだ、聞かないと……

「お母さん、私の名前……桃心ってつけた理由、教えてほしんだ」

大嫌いで、まともに聞こうともしなかった名前の由来。この名前を付けたお母さんを責めることはあっても、ちゃんと知ろうとはしなかった。

「……桃心の名前はね、ある日ラリマーっていう人がももこと読む名前を付けて下さいと言ったの。この子は白旗を使い、世界を救う力を持っている子で、この名前が一番力を発揮できる名前だからって。予言の話は知っていたけど……まさか自分の子が予言に出てくるとは思わなかった。私は名前に心を入れたかったから、桃心にしたんだよ。心優しい子になってほしいから心は絶対に入れたかったの」

私の名前は予言で決められていた。お母さんがつけた名前だと思っていたから複雑な気持ちになる。

「嫌だったら戦いが終わった後は変えていいって言ってけど……」

「変えないよ」

お母さんの願いが込められているから変えない。それに、桃心という名前は嫌なこともあったけど、いいことだって呼び寄せてくれた。私の人生が詰まっているんだから変えない。
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