封印の虹 Vivid army
夢の様な時間だった。お母さんも友達もいて、平和に過ごせた。戦いが終わったらこれがずっと続くのかな。

避難して来てから三週間、その日は近所を散歩していた。川の魚を見て、駄菓子屋さんでお菓子を買って、帰ってくる途中に近所のおばさんからビワをもらった。
家に帰ったらすぐに食べるのを楽しみにしていた。

家が見えてきた。私はもどかしくなって駈け出した。

「お母さん、ビワもらってき……」

「桃心!空操禁書が!」

家の上空を二人の空操禁書が飛んでいる。私の姿を見ると、ニヤリと笑い急降下してきた。

「お母さんは!?」

「避難したよ!近所の人にも避難するように言って下さるはず!」

バリアを上の方に張った。しかし、バリアを割られてしまった。

「愛恩、危ない!」

空操禁書が愛恩にも攻撃しようとする。私の感情が爆発した。

白旗は、激しく光った後強い力を放出し、その反動で私も後退する。
次の瞬間、空操禁書の一人は吹き飛ばされた。もう一人は強風で近づくことができなくなる。
討伐作戦の時より強い力だった。

「皆を殺そうとするなら、容赦はしない」

白旗をもう一度空操禁書に向ける。

「……戦えない。これは……ヤバいことになっちゃった」

「マスターに報告しに行くよ!ほら、早くしないとっ!」

空操禁書たちは帰っていく。愛恩は無事だった。

私は変化していた。もう、死ぬことさえ怖くない。私は皆を守る。私のことを守ってくれた皆を。
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