封印の虹 Vivid army

許せなかった、中途半端な優しさ

あくびをしながらふとんから出る。時計を見ると八時だった。
準備をしてから食堂に行く。こんな時間に食堂に行く人なんて私くらいしかいないよね……と思っていたら、いた。

「もしかして、今度の作戦もあの子がいるの?」

「それは無いと思うんだが……どうして鸚緑は夜空のことが嫌いなんだ?」

墨礼が気になっていたことを聞いてくれた。

「あーいう子嫌いなの。無駄な綺麗事だけ言って無駄な犠牲出すんだもん。周りの人のこと全然考えてないし、見てて腹が立ってくる」

「どうしてそこまで嫌うの?何があった……」

「それじゃ、帰るよ。私は綺麗事さんたちのせいで忙しいの」

食器を返した後、鸚緑さんは食堂から出て行く。

「分からないわ……普通にしてたら夜空さんに会わないはずなのに」

言葉を遮られた紫邦さんがそう言った。

「あっ桃心が来たよ!おはよう!」

「おはよーそしておかえりー」

「おはよう」

椅子に座り、さっき何故ああなったのか聞いた。

「名前の話しててーそしたら夜空さんだけ違ったんだよ。夜空さんの話に移りかけた時、孔雀の機嫌が悪くなってーで、墨礼が理由を聞いて今こうなってる」

ここにいる皆は、鸚緑さんが夜空さんのことを嫌う理由は知らない。鸚緑さんに聞かないと分からないよね……

「夜空さんって海の方だし、菜の花ちゃんに聞けば分かるんじゃないかな。でも、聞きに行く前に桃心はご飯食べよう」

「あっそうだった!」

食べている時も気になって仕方がなかった。夜空さんは気にしていないのに、鸚緑さんは名前を聞くのも嫌がる。それが不思議だった。
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