封印の虹 Vivid army
陸の部隊が集合した。鋼打隊長が壇上に登る。

「空操禁書は、強大な力を持つが、その弱点が判明した。それは、魔力だ。強大な力を使うためには、多くの魔力を必要とする。海軍が魔力の元とそれを護衛する空操禁書を破壊し、陸軍は空操禁書の拠点と主力を破壊する。祈望軍の本気を見せるぞ!」

そのころ、港で三笠が壇上に登る。

「我が海軍は、技術が発展し、多くのラストを討伐できるようになったことで油断していた。昔、油断したことで主力艦が沈んだ。情けをかけ、見逃したラストに殺された将校がいた。油断した時、敵に情けをかけた時、あなたたちは死ぬ。今何をすべきか、冷静に判断し続けなさい」

「そんな……」

夜空の心に迷いが生じる。自分はそんな心を持てない。
話が終わった後、一人暗い顔をしながら歩く。

「夜空さん、少しいいですか?」

「美理矢君……?」

夜空は、美理矢のことが好きになっていた。そして、桃心がいない間二人は仲良くなった。

「帰って来れるか分からないから伝えます……光さん、あなたのことが好きでした!」

思いがけない告白……嬉しかった。

「私も……好きです!」

美理矢君と一緒に、平和な世界で生きたいと強く思った。生きるためには甘い考えは捨てなきゃ。戦って、つらい決断もしなければいけないんだ。

夜空は高い塔に登り、戦況を艦隊に報告するのが役目だ。役目を果たし、美理矢たちを守ると決意した。

「よかったね……」

桃心は武運を祈り、見送ろうとしていた。悲しいかもしれない、けど嫉妬は無かった。

「愛されてるんだから、簡単に死んじゃ駄目だよ」

桃心は聞こえないようにそう言った。
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