封印の虹 Vivid army
その直後、熱風が襲った。けどストーリィのおかげで火傷を負うことはなかった。

「封印しにきたのか?」

「うん、絶対に封印する気で」

白旗を構え、力を籠める。

「やああああ!」

白旗を振り上げ、現れようとするラストを一瞬で消す。

皆の祈りが届いた。

少し曇っていた世界はは一瞬真っ暗になって、その後激しく何かが光る。光は大量のエルピスになって色を変えていく。赤、橙、黄色、緑、青、紫のエルピスが大きな扉を造る。

「また、駄目だったか……」

何度も理想の世界を作ろうとしたのかな?何回繰り返したんだろう?
でも、空操禁書は私たちにとって危険だ。この世界には必要ない。

「でも、封印するのがお前でよかった」

「マスター!諦めるつもりですか?」

「もういいだろう、終わりにしよう」

扉の中に空操禁書を引きこむ。


「まさか、負けたのか?」

解明の本は回復した後、攻撃もしてない内に扉に引き寄せられる。他の空操禁書は抵抗したり、絶望して抵抗も出来なくなる。

「終わったの、まあいいけど」

他の空操禁書に反してあっさりと言った。運命の本は、悔しいとも悲しいとも思っていなかった。

ラストは消えていった。空操禁書が封印されたことで力を失ったのかもしれない。

「消えた……?」

「っていうことは、勝った!?」

月虹部隊から三笠や鋼打に連絡がくる。


「戦いは終わった!無事帰るぞ!」

「本日、長い戦いが終わった」

無線やスピーカーで戦いの終わりが伝えられた。陸と海両方から歓声が響く。

「よかった……!平和に暮らせるんだ!」

「早く帰ろう、恋人と結婚出来るんだ!」

喜ぶ者たちを三笠は見ていた。
戦いが終わったからといって、幸せに暮らしていけるとは限らない。

ラストの討伐で得ていた鉄は、軍艦の解体や採掘で手に入れることになる。当分は持つかもしれないが、足りなくなったら……職を失った祈望軍の軍人が、危険な採掘をすることになるだろう。

問題はまだ山積みだ。しかし、今は戦いの終わりを祝おう。


「笑実!」

「先輩……」

予言通り、笑実は死ぬことになる。意識が薄れていく笑実をどうにかして救えないかと、桃心を呼びにいこうとする。

「私は予言通り助からない。だから、最後のときは一緒にいてほしいの……」

そう言って笑実は手を握る。

「……ずっと一緒にいたいんだ! 予言なんて……」

言い終わる前に笑実は力尽きた。

「笑実!……君のいない世界なんて、いる意味がないのに……」
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