封印の虹 Vivid army
あの予知ができるようになった日記を使い始めて、後悔することが減った。朝起きて日記を見ることが日課になった。今日廊下を走って怒られる 廊下は隊長に見られていない時に走れ等、いつもと変わらないことが書かれていた。1つを除いて。

友達の有紗含む第2班全員死亡 避けようがありません 諦めて下さい

それを見た瞬間、ゾッとした。これはいままで予知を外したことが無かったのだ。それからだんだん怒りが湧いてきた。ふざけるな、そんなことあってたまるか!有紗を……第2班を絶対に死なせない。
部屋を出て、走って有紗を探す。途中隊長に怒られたけど無視した。

「有紗!」

「雨意、どうしたの?」

「今回の作戦……第2班は参加しないで!」

「どうして?」

理由は……死ぬとしか書かれていなかったせいで言えない。せめて、何があるのか書いてくれていたら……こうなったら、あの日記のことを言うしかない。有紗はいつも私のことを信じてくれた。今回も……

「予知できる日記に書いてあったの。今日、第2班の人たちが死ぬって……」

2人しかいない廊下は静まり返る。

「信じられない。それに、もし本当だったとしても、第2班が行かなかったら別の人が死ぬかもしれない。未来を変えてしまったせいで大変なことになるかもしれない」

確かにそうだ。今までの些細なことでも、もしかしたら未来を大きく変えてしまっているのかもしれないんだ。気付くのが遅すぎた……

「今回の作戦は第2班にとって特別な作戦なの。自分が死ぬとしても未来の平和のために戦う、それが祈望軍の軍人でしょ」

有紗の目に迷いはなかった。有紗は班長に呼ばれ去っていく。
私たちは平和のために戦う。でも、納得がいかない。軍人なのに一般の人を傷つけたりする人が生き残って、皆のために何があっても戦う第2班の人たちが死ぬなんて……
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