封印の虹 Vivid army
出欠を取ります。静かにしてください
私は白原 桃心。13歳。桃心と書いてももこって読むの。ありえない読み方でしょ。この名前のせいで今まで苦労してきたんだ。初めて会う人が読めない名前を付ける親がいたら罰金とるようになればいいのにって思う。
そんなことより、今日、私は軍人になります。でもまだ見習いだけど……
士官学校の大きな門をくぐると、白い壁がきれいな校舎と満開の桜が見える。
「うわ~きれい!」
誰かに言ったわけじゃないし、独り言だからスルーしてほしかったのに話しかけられた。
「だよね!私、もっと古い建物かと思ったよ!」
後ろを見ると、群青色の髪で明るい笑顔の女の子がいた。よかった……悪い人ではなさそうだ。
「あっうん。びっくりしたよ!ところであなた誰?」
「わたしは藍野 愛恩。愛と恩って書いてあお。読めないでしょ」
愛恩はそう言って笑う。私以外にも、読めない名前の人がいた。
「私は白原 桃心。桃心と書いてももこ。今まで読めた人はいないんだ」
愛恩は、それは私も読めないな!と言って笑った。
「そういえば、学校で先生が出欠をとるよね。読めないんだろうな~」
「それでからかわれたりするよね」
私たちは校内に入った後も話していた。いままで同じ年の子と話すということがあまりなかった。だから、嫌われないかすっごく心配している。でも、心配しなくてもいいらしい。
「桃心とは気が合うなぁ。ねぇ、私と友達になってくれる?」
「うん!もちろん!」
名前を呼ばれるのが嫌でゆっくりと教室に向かっていた私は、うれしくってゆっくり歩くことを忘れていた。初めて友達ができた。この名前が初めて役に立った。もしかしたら、教室に行ったらもっといいことがあるかもしれない。例えばまた新しい友達ができたり、運命の人に出会っちゃったり!
士官学校に入ったというのに、戦わなければいけなくなるのに、このときの私はのんきでした。
そんなことより、今日、私は軍人になります。でもまだ見習いだけど……
士官学校の大きな門をくぐると、白い壁がきれいな校舎と満開の桜が見える。
「うわ~きれい!」
誰かに言ったわけじゃないし、独り言だからスルーしてほしかったのに話しかけられた。
「だよね!私、もっと古い建物かと思ったよ!」
後ろを見ると、群青色の髪で明るい笑顔の女の子がいた。よかった……悪い人ではなさそうだ。
「あっうん。びっくりしたよ!ところであなた誰?」
「わたしは藍野 愛恩。愛と恩って書いてあお。読めないでしょ」
愛恩はそう言って笑う。私以外にも、読めない名前の人がいた。
「私は白原 桃心。桃心と書いてももこ。今まで読めた人はいないんだ」
愛恩は、それは私も読めないな!と言って笑った。
「そういえば、学校で先生が出欠をとるよね。読めないんだろうな~」
「それでからかわれたりするよね」
私たちは校内に入った後も話していた。いままで同じ年の子と話すということがあまりなかった。だから、嫌われないかすっごく心配している。でも、心配しなくてもいいらしい。
「桃心とは気が合うなぁ。ねぇ、私と友達になってくれる?」
「うん!もちろん!」
名前を呼ばれるのが嫌でゆっくりと教室に向かっていた私は、うれしくってゆっくり歩くことを忘れていた。初めて友達ができた。この名前が初めて役に立った。もしかしたら、教室に行ったらもっといいことがあるかもしれない。例えばまた新しい友達ができたり、運命の人に出会っちゃったり!
士官学校に入ったというのに、戦わなければいけなくなるのに、このときの私はのんきでした。