封印の虹 Vivid army
「空操禁書の噂、聞いた?」

「聞いたよ。でもラスト討伐でも大変なのに本相手してる暇はあるのか?」

愛恩と鼠優子は朝から空操禁書の話をしている。私は、空操禁書と聞くと意識を失いそうになる。それに、人の命を奪った本を許せなかった。
2週間くらい前、どこに入るか見学が一応あった。私はいつも通り旗のせいでどこに入るか決めさせてもらえなかった。実はそのとき、命を奪われた人と会っていたのだ。
木札さんは、迷子になった私を愛恩たちのところまで案内してくれた。何回か走って隊長さんに怒られていた。
小林さんは緊張していた私たちに冗談を言って緊張をほぐしてくれた。他の人のストーリィは見せても、自分のストーリィは積極的に見せない人だったな。
少し前まで生きていたのに、突然命を奪われる……きっと、これからもっと多くなる。

「空操禁書の話ばかりだな……自分は何をするか決めたのか?」

墨礼が聞くと2人とも、もちろんと答える。

「私は能力測定かな。能力測定が得意だし」

「私はやっぱり投擲隊だな。いろんな物投げるの楽しいじゃん」

「愛恩はいいとして鼠優子、実際に討伐に行ったら面白いなんて言えないぞ」

墨礼の言う通りだ。きっと戦ったことが無い人は訓練通りに行くと思っている。でも現実は違う。誰がいつどうなるかなんてわからない。もしかしたら、昨日話していた人が今日いなくなるということだってあるかもしれないんだ。
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