封印の虹 Vivid army
「あっあの教官は……」

兵舎に向かう途中、廊下の先に、私の名前を読めた教官がいた。

「こんにちは!」

敬礼の仕方はまだよくわからないけど、他の人を見て真似てみた。

「こんにちはー。寮には行った?」

「いいえまだです。あの……聞きたいことがあるのですが……」

「何?何でも教えるよー」

「教官は、何故私の名前が読めたのですか?」

教官は少し考えた後答えた。

「思い浮かんだからだよ。これ以外の読み方は考えられなかったんだよねー」

少し神秘的な感じのすることを、悠然となんて事ない調子で言ってみせた。この教官、すごい人だなあ……

「おしえてくださってありがとうございました!」

お辞儀をして顔を上げると、教官はいなくなっていた。そういえば、あの教官の名前を知らない。まあ、また会えるよね。今は兵舎に行かないと。
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