封印の虹 Vivid army
「私に聞きたいことがあるの?」

「うん、病気の事について、何か分かることがあるかもしれないと思って……」

泣島さんはいままでどうしていたのかを教えてくれた。泣島さんは、記憶が増えないように、そして笑わないように、友達はいなくて面白い話も聞かせてもらえなかった。本も悲しいお話ばかりで、何をするにも大人の人の許可を取らなければいけなかった。

「それと、病気の事について他にもあったの。私、この戦いが終わったら死ぬんだって」

「……まさか、ラストを絶滅させて空操禁書とも決着がついたら……!」

「うん。預言書にはそう書かれていたんだって」

どうしてこんな悲しいことが起きるのだろう。治療法とかは預言せずに、悲しいことしか予言されない。

「大丈夫、軍人は辞めないよ。この戦いが終わる様に頑張る」

泣島さんは悲しそうに微笑んで言う。

「どうして、終わったら自分が死ぬのに……」

自分だったら、死ぬのを少しでも遅らせたいと思う。それなのに、どうして自分の寿命を縮めるようなことをするんだろう。

「戦いが長引いたら、きっと私みたいな病気になる人も増える。それは嫌なんだ。幸い、今のところ戦いが終わったら死ぬのは私だけだし……」

「でも、泣島さんがいないと悲しむ人がいるんだよ!私は泣島さんも、他の人も助かる方を探してそっちを選びたい!」

でも、その方法が見つかるのがいつになるかは分からない。その間に多くの人が犠牲になるかもしれない。

「そっか……なんだか、死にたくないって思っちゃったな……」

そう言った泣島さんに、死にたくないと思うのは悪い事じゃないと言いたかった。けど、それは自分の考えで、泣島さんの立場になって考えると言わない方がいい気がして言わなかった。
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