封印の虹 Vivid army
「桃子!一緒の部屋だったんだね!」

自室に着くと愛恩に出迎えられた。

「愛恩だ!あ〜よかった〜 ……あれ?他の2人は来てないの?」

部屋には愛恩しかいない。普通、部屋は4人で1部屋のはずなのに。

「それが……2人とも遅れるっぽい。しかもあの、喧嘩してた2人だよ」

なんてことだ!これはいろいろ大変な生活になりそう。

「あ、来た」

「こんにちは……」

教官にぶつかっていた人が、教官に怒られ、疲れ切った顔で部屋に来た。もう1人は部屋を見渡して、よし、侵入者はいないと確認する。当然だ、いたら怖いよ!
この2人は部屋に来てからも睨みあっている。

「ねえ、自己紹介しない?」

部屋の空気に耐えきれず、青が自己紹介を提案する。部屋の端にいた2人は愛恩のいるところに移動した。

「まずは私から!藍野 愛恩です!好きなことは写真を撮ることで、得意なことは新聞を書くことです!これからよろしくお願いします!」

パチパチと拍手をする。この時の2人は落ち着いていた。

「私は黒倉 墨礼(こくそう すみれ)。軍記を読むことを好む。常識や規則は守る様にしている。こいつと違ってな」

あの子の事をちらりと見て言った。まだあの事を引きずっている。

「あ~私は灰里 鼠優子(かいり しょうこ)。好きなことはクロスワードパズルを解くこと。まあ気楽にしよぅ。こいつは無理だと思うけど」

鼠優子はそう言った後クスッと笑った。墨礼はとても怖い顔になっている。しかし、あのときみたいに怒鳴ったりはしなかった。

「最後は私だね。私は白原 桃心。図画工作が好きで、いつも何かを作ったり描いたりしています。仲良くしてくれると嬉しいです」

「仲良く……そんな甘い考えでやっていけると思っているのか?」

「あれ、友達いないから仲良くってワード駄目なの?」

墨礼が鼠優子に頭突きする。鼠優子はそこまで痛そうにはしていなかったからもしかしたら手加減したのかもしれない。でもまた微妙な空気になった。
この日はずっとこんな感じだった。
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