封印の虹 Vivid army
「桃心が来たか。では始めよう」

部屋にはいつもの3人と黄衣羅木ちゃんたちもいた。他に、何人か知らない人がいた。

「空操禁書対策機関、虹機関ができた。そして、白原が隊長となる部隊は……月虹部隊だ……」

「質問!何故月虹部隊という名前なのですか?」

西村さんは、もう少し言いたそうにしていたけど、愛恩の質問に答えた。

「例えば、空操禁書対策部隊等分かりやすい名前にすると空操禁書に狙われやすくなる。それに、国民に空操禁書の存在はあまり知られたくない」

私がいる時点で元から狙われやすいと思う。多分、空操禁書の存在を知られたくないというのが1番の理由だと思う。

「もう質問は無いか?無ければこれからすることを話す」

西村さんが確認した。質問は無いらしい。

「次の空操禁書討伐作戦までそれぞれ自由行動だそうだ」

それから長い話が続き、私には分厚い本が渡された。さっきの長い話の内容が書かれている。これは隊長が持つ本らしい。この本を持ち歩いている隊長がいたことを思い出し、凄いなあと思う。

「重い……引き出しに入れよう……」

月虹部隊の本にしか書かれていない事もあるらしく、他の人には読まれないようにしろと言われた。だから、開けるには文字のブロックを当てはめないと開かない鍵のついた引き出しに入れた。きっと分からないと思う。おぁくぬをぎぃなんて。

「桃心、自己紹介するよー」

「分かった、今行く」

私は一応隊長だけど皆には敬語を使わないようにしてもらっている。だって、同い年だし皆は今までの隊と月虹部隊、2つの隊員ということになっているから。

「私は水華 空。平和を取り戻せるよう頑張ります。ストーリィはレーダー探知機と双眼鏡です。これからよろしくお願いします」

水華さんは水色の綺麗な髪を一つ結びにした子で、落ち着いた雰囲気だなと思った。

「あたしは鸚緑 孔雀(おうりょく くじゃく)。ストーリィは薬箱。役に立つと思うのでこれからよろしく。あと、私の邪魔はしないでね」

鸚緑さんは自分に自信を持っていて、士官学校時代は性格が良くないことでも有名だった。紫邦さんと仲が良くて、名前や2人のイメージカラーから葡萄組と呼ばれていた。

「後は……先に帰った夜空 光(よぞら ひかり)ちゃんだけだね」

愛恩が名簿を見て確認する。夜空さんは途中で用事が出来たらしく出て行ってしまった。

「じゃあ、あたし帰る。もう用は無いよね」

鸚緑さんが荷物をまとめ始めた。

「えっでももうすぐ帰ってくるよ」

愛恩が引き留めようとしたけど聞かない。

「何であんないい子ちゃんの話聞かなきゃいけないの?出来もしない綺麗事ばっかり言って、皆の足引っ張るし……道徳の教科書を人間にしたみたいな考え方の子と仲良くしたって、こっちにメリットはないのに」

そう言って、部屋から素早く出て行ってしまった。愛恩と紫邦さんは困ってるし、菜の花ちゃんと蜜柑ちゃんは怒っている。初日からこんな様子で大丈夫かな……
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