封印の虹 Vivid army
ウィンディーネが沈む少し前、戦艦初瀬は後ろの方を進んでいた。空操禁書がやっと見えて来るところまで来た時、触雷した。航行不能となり、巡洋艦笠置が曳航を始めた。しかし、初瀬が再度触雷し沈んでいく。

「永流!」

朝日は永流の名前を叫ぶ。初瀬はすぐに沈み、生存者の中に初瀬がいない予感がした。

「朝日、止まるな」

敷島は無線でそう伝えた。

「敷島さんは何で前を向いてそんなことが言えるんですか!?初瀬が沈む時も空操禁書を撃ち続けて……」

朝日は泣きながら問いかける。

「旋律の時も、ジュリアの時も、私たちは進み続けただろう」

それは、まだ敷島型が全て戦艦だったときの話。ある任務では旋律さんが巡洋艦とともに、違う任務ではジュリアが駆逐艦ともに沈んだ。旋律さんは先輩で、新兵だった私たちにいろいろなことを教えてくれた。ジュリアは初めての後輩で会ったらいつも元気に挨拶していた。
それでも、私たちは進み、仇を討つため前を向き攻撃を繰り返した。

そうだった、今は戦艦じゃないけど、工作艦として出来ることは……

「皆!工作活動再開するよ!まずはあそこの駆逐艦から!」
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