封印の虹 Vivid army
「扶桑さん!もう撤退しましょう!」

「いやまだだ。まだ空操禁書が……!」

空操禁書に攻撃を一回当てるだけでも多くの人や軍艦が犠牲になった。このまま続けていても勝てないことは誰でもわかる。

「データならもう十分収集出来ました!」

「討伐できるまで続行する」

諦めよう。今の扶桑さんには何を言っても無駄だ。
部屋を出ようとした時、あることに気が付いた。

「扶桑さん、目の色が変わっていますが、何かしたのですか?」


「何で撤退しないのよ!これ以上続けたってどうにもならないのに!」

砲弾の準備をしながら駆逐艦紅月の砲手が言った。

「まあまあ、私たちはただ命令に従うだけです。でも、出来るだけ損害を出さないようにする扶桑さんにしては珍しいですね」

何人かは扶桑がいつもと違うことに気付いた。しかし、山城にそれが知らされるのは何時間も後のことだった。
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