封印の虹 Vivid army
美理矢君は織雨さんがいるのに自分で本を探していた。

「美理矢君は自分で探すの?」

「うん。実は、周りの人が教えたがらない事を調べているんだ」

本棚には、昔の事件が書かれている本が並べられている。そういえば、この本棚からあの本が……

同じ名字、似た名前……織雨さんが隠そうとした……

「変なこと聞いてもいい?お父さんの名前って、竹林 入矢だったりする……?」

美理矢君が驚いた顔で、うんと言った。やっぱり……あの事件は……
あの本と同じ本が本棚に並べられている。私が見た本は織雨さんが違う本と一緒に自分の机に置いていたから、同じ本が二冊あるんだ……この本が読める状態なら、あの事件について……
本を取った時、手にとてつもない痛みを感じた。

「いたっ!」

つま先立ちだったので、私はバランスを崩して倒れかける。でも、入矢君が支えてくれて助かった。

「大丈夫?」

「えっうん!大丈夫!」

倒れかけたときとはまた違う感じで心臓がドキドキする。頭がくらくらしてきた……どうしよう……ここで私死ぬのかな……
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