封印の虹 Vivid army
「桃心、仲間は死んでいない。生きている。あいつは人を惑わす言葉を掛けてくるが、それを跳ね返せ」

死んでいない。私はその一言でいつもの自分に戻れた気がする。

「私が槍で突く、桃心は白旗で弱体化させろ。時が来たらピジョンをいるべき場所に送る」

「わかった」

私はすぐに白旗を振った。恵紅は男を追いかけ、物凄い速さで突く。しかし、ピジョンは避ける。

「マスター、何を怒っている。まさか、失恋したから……」

「失望したんだ。貴様なんか使わなければよかった」

恵紅はそう言って、槍で貫いた。何も言わないピジョンを冷たい目で見ている。

「白旗……俺がいなくなって本当にいいのか?」

「いいよ、むしろ今すぐいなくなって欲しい」

罪の無い人や自然を燃やした奴なんていなくなればいい。

「このままだと、夜空 光に竹林 美理矢を奪われるぞ」

ピジョンはニヤリと笑う。

「なっ何の根拠があって……」

そう言ったけど、内心ヒヤリとした。どうしよう、夜空さんが好きになったら……私に勝ち目は無い……
夜空さんより早く自分のことを好きになってもらわないと勝てない。そう思うと焦る。けど、夜空さんを傷付けるのも嫌だ。

「白旗を紅く染め、夜空を消せば竹林はお前のものになる。」

夜空さんが、いなくなれば……昔、言われたことがある。学校で……白旗は殺傷能力が無いから無意味で無力だって。夜空さんを消してしまえば、無力じゃないって証明できる。消したい奴は山ほどいる。名前が変だからと言ってシカトしてきたリーダー気取りの子とか、無力だと陰口叩く人とか……

白旗が徐々に紅く染まる。全て紅くなる直前に……

「桃心!」
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