電車で見かけるあの人の横には、いつも彼女がいた
8
いつもと同じ時間、同じ車両。
「渡瀬さんは、本が好きなんですか?」
「うん。美里ちゃんは好き?」
「嫌いじゃないです」
あれから、私と彼の距離はグッと近くなった。
彼の名前は『渡瀬 翼』さん。
都内の進学校の、2年生。
私の一つ上。
「あの……」
「うん?」
「一つ、聞いても良いですか?」
「何?」
「……いつも一緒にいた、あの人は……」
渡瀬さんは、パタン……と本を閉じ、
「……他に好きな人が出来たんだって」
とだけ呟いた。
「渡瀬さんは、本が好きなんですか?」
「うん。美里ちゃんは好き?」
「嫌いじゃないです」
あれから、私と彼の距離はグッと近くなった。
彼の名前は『渡瀬 翼』さん。
都内の進学校の、2年生。
私の一つ上。
「あの……」
「うん?」
「一つ、聞いても良いですか?」
「何?」
「……いつも一緒にいた、あの人は……」
渡瀬さんは、パタン……と本を閉じ、
「……他に好きな人が出来たんだって」
とだけ呟いた。