気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
そんなわたしの態度を見て、景さんは目を細める。

「賀上さんにいろいろ言われてうっかりときめいたりしてないよね?」

「そ、そんなこと……」

ちょっとドキッとしたときはあったけれど、あれは驚いたのもあったからで……。

若干の後ろめたさに思わず顔を逸らしてしまったわたし。

だけど、そっと視線を戻してみたら景さんの表情が不安そうに見えて、それに胸がぎゅっとなった。

「わ、わたしは、好きって思うのは景さんだけです。そばにいたいって思うのも、嫉妬しちゃうのも、景さんだけ……きゃっ!?」

体がいきなりソファに倒されて、驚いたわたしは覆いかぶさった景さんに目を見開く。

「なんかもう、可愛くて無理」

そう言った景さんは、わたしの服を脱がそうとする。
ちょっと待って、まだ心の準備がっ! それにここソファですよ!?

「け、景さん、あのっ、待っ……」

「待てない」

「お、お風呂とかっ」

「後で一緒に入ろう」

「ベッド……!」

「それも後で移動する」

どうして急にスイッチが入っちゃったの!?と、滑り込んできた手を阻止してみたり、胸元を押さえてみたり。

わたしの手を掴もうとしてくる景さんと攻防して、それがおかしくてふたりともちょっと笑いながらふざけてバタバタしていたら、ついにわたしの両手が景さんに取り押さえられる。

「……捕まえた」

一瞬で雰囲気を変えた景さんに、体温が上がった気がした。
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