気まぐれイケメン上司に振り回されてます！

わたしが景さんに特別な気持ちを持っていることを沙穂子には伝えている。

自分から教えたことだけど、こうして言われてしまうと仲のいい間柄でもどこか恥ずかしい。

「気持ち伝えたりしないの？」

「そ、そんなことできるわけないじゃん」

「どうして？」

「だって、毎日顔合わせてるんだよ？　どうせフラれるのにそんなことしたら、気まずくて大変でしょ」

「フラれないかもしれないでしょ？」

「いやいや……このわたしが、景さんに釣り合うと思う？」

「さあ……その吉葉さんを見たことないからわからないけれど。話を聞いている限りだと、ふたりともいい感じだと思う」

「どこがよ。振り回されてるだけで、全然そんなことないよ」

わたしはため息交じりにそう言った。

景さんとの距離は他の人よりも近いかもしれない。でもそれに、仕事以外のなにかがあるようには感じない。

ドキドキする瞬間は何度もあるから、もしかして？と考えたくなるときもあるけれど、やっぱり違うと思う。

いつも口うるさい、ただのアシスタント。
そういう意識でしかない気がする。

それに景さんの女性の好みにわたしが当てはまるとは思えないし。もし少しでも当てはまったら、もうちょっとわたしの言うことを聞いてくれるよね？