気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
2.期待した?
***
ミーティングルームのドアを閉めた後、そのドアに背中をくっつけて凭れるようにしたわたしは、深く息を吐き出した。
もう三十分前のことで、会議に出たメンバーはとっく解散しているというのに、高揚感がまだ残っている。
わたしは抱きしめるように持っていたファイルを体から離して見つめた。
――企業広告のデザイン案。今日は言われていた会議があり、わたしのアイディアが採用されて担当することになった。
「やっ、たぁ……」
うれしくて、本当にうれしくて、もう一度ファイルを強く抱きしめたわたしは吐息交じりに呟く。
少しだけ喜びの涙が滲みそうだったけれど、いちいち泣いていたら仕事にならないぞ!と自分に言い聞かせて、わたしはその足で景さんの作業ルームへ向かった。
「景さん!」
ノックをしてドアを開けたわたしの声は、とても弾んでいた。
景さんは作業テーブルで仕事をしていて、わたしにちらりと視線を向けた後、口許を緩める。
「春ちゃんがデザインするんだね」
「えっ、な、なんで知ってるんですか?」
「顔を見ればわかる。よかった、しっかりやりなよ」
視線を手元に戻しながらそう言った景さんに、わたしは満面の笑みで「はい!」と返事をした。
ミーティングルームのドアを閉めた後、そのドアに背中をくっつけて凭れるようにしたわたしは、深く息を吐き出した。
もう三十分前のことで、会議に出たメンバーはとっく解散しているというのに、高揚感がまだ残っている。
わたしは抱きしめるように持っていたファイルを体から離して見つめた。
――企業広告のデザイン案。今日は言われていた会議があり、わたしのアイディアが採用されて担当することになった。
「やっ、たぁ……」
うれしくて、本当にうれしくて、もう一度ファイルを強く抱きしめたわたしは吐息交じりに呟く。
少しだけ喜びの涙が滲みそうだったけれど、いちいち泣いていたら仕事にならないぞ!と自分に言い聞かせて、わたしはその足で景さんの作業ルームへ向かった。
「景さん!」
ノックをしてドアを開けたわたしの声は、とても弾んでいた。
景さんは作業テーブルで仕事をしていて、わたしにちらりと視線を向けた後、口許を緩める。
「春ちゃんがデザインするんだね」
「えっ、な、なんで知ってるんですか?」
「顔を見ればわかる。よかった、しっかりやりなよ」
視線を手元に戻しながらそう言った景さんに、わたしは満面の笑みで「はい!」と返事をした。