気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
「というわけなので、景さんのことばかり構っているわけにはいかなくなりましたからね。納期はまだ先ですが、自分の中でデザイン突き詰めておきたいので。わたしが見ていなくても、しっかり仕事してくださいよ」
「わかってる、わかってる」
「なんだかいつも軽い返事ばかりだから、心配なんですよねえ」
「心配性だな、春ちゃんは」
「誰のせいですかっ」
わたしの膨れっ面はほんの少しの間だけで、和やかに景さんと仕事の話をはじめようとしていると、作業ルームのドアがノックされた。
そして、同僚でわたしの一歳下の村野《むらの》くんがドアを開けて困ったような顔でこちらを覗いてくる。
「どうした?」
景さんが首を傾げると、村野くんは早足で中へ入ってきて作業テーブルの横に立ち、景さんに向かって小さな声を出した。
「吉葉さんにお客さんなんですけど……」
「客?」
「はい。先日、吉葉さんを指名した企業の宣伝部の方らしく……女性なんですけど、あの感じは間違いなく仕事じゃなくて吉葉さんに会うために来た感じで……」
「ああ、そう」
わずかに眉を寄せた景さんは、少し嫌そうにしている感じがした。それが、村野くんにも伝わったらしく、若干焦っている。
たまに景さんに会いたいからという理由で、会社にくる人がいる。
その気はなくても、彼は仕事をすると同時に女性を虜にしてしまうらしい。
「吉葉さんは忙しいって言ったんですけど、会えるまで待つって応接室入って行っちゃって」
「いいよ、わかった。今相手するよ」
「わかってる、わかってる」
「なんだかいつも軽い返事ばかりだから、心配なんですよねえ」
「心配性だな、春ちゃんは」
「誰のせいですかっ」
わたしの膨れっ面はほんの少しの間だけで、和やかに景さんと仕事の話をはじめようとしていると、作業ルームのドアがノックされた。
そして、同僚でわたしの一歳下の村野《むらの》くんがドアを開けて困ったような顔でこちらを覗いてくる。
「どうした?」
景さんが首を傾げると、村野くんは早足で中へ入ってきて作業テーブルの横に立ち、景さんに向かって小さな声を出した。
「吉葉さんにお客さんなんですけど……」
「客?」
「はい。先日、吉葉さんを指名した企業の宣伝部の方らしく……女性なんですけど、あの感じは間違いなく仕事じゃなくて吉葉さんに会うために来た感じで……」
「ああ、そう」
わずかに眉を寄せた景さんは、少し嫌そうにしている感じがした。それが、村野くんにも伝わったらしく、若干焦っている。
たまに景さんに会いたいからという理由で、会社にくる人がいる。
その気はなくても、彼は仕事をすると同時に女性を虜にしてしまうらしい。
「吉葉さんは忙しいって言ったんですけど、会えるまで待つって応接室入って行っちゃって」
「いいよ、わかった。今相手するよ」