気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
「そもそも、景さんってどんな女性が好みなんですか?」

ほとんど勢いで質問していて、後からこそばゆいものが胸に広がる。

こんなことを今まで聞いたことはないし、恋愛の話をするようなこともなかった。

なにを聞いているんだろう、と思いながらも、心の奥ではとても気になっている状態。

「好みか……そういうの、最近はあまり意識したことないかなあ……」

景さんは、好きな人ができたりしないのだろうか。好きって気持ちで苦しくなってしまうくらい、相手を想ったりはしないの?

「そうだ、とりあえずかわいい子には並に興奮はするけどね、生理現象ってやつで」

茶化すような景さんの言葉に、どういう反応をしていいのか困ったわたしはうつむいた。
景さんはモテるだろうし、かわいい女性はたくさん寄ってくるんだろうな……。そう思うと、少しもやっとした。

「ていうか、基本女の子は面倒臭い」

「……そうですか」

「でも、君は好き」

わたしは顔を上げて景さんを見る。彼は頬杖をついて、微笑んでいた。

「春ちゃんは好きだよ」

――わたしの時間が一瞬、止まった気がした。

この人は、どういう意味でそんなことを言っているのだろうとか、わたしはなんて返したらいいのだろうとか。

その一瞬が過ぎ去ったら、いっきに頭の中が動き出して、軽い混乱状態になる。
そんなわたしを、景さんはくすっと笑った。
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