気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
「だ、大丈夫です」

「嘘だろ、すごい音だったし」

「うう……」

くすくす笑った景さんは腕を上げて背伸びをして、「なにか食べようか」と立ち上がった。

わたしったら部屋に上がり込んで、食事までしてしまっていいのだろうか。

リビングへ向かう景さんのうしろをついていくと、彼はそのままキッチンの方へ歩いて冷蔵庫の中身を確認しはじめた。

食べるものがあるのかな。

「冷凍に肉と、卵と、野菜室にキャベツがあるよ」

「普段自炊しているんですか?」

「ほとんど外食だけど、飽きるからたまに焼くこととお湯を沸かすくらいはやるときがある。本当にたまに」

景さんは苦笑しながら材料をキッチン台にのせた。

もしかして、景さんがご飯を作ってくれるの?
ちょっと感激して、わたしはキッチンに小走りで寄った。

「包丁とまな板も出しておく。調味料は引き出しで、油は後ろの棚に。お米は下の収納スペース、ボウルやおたまは台のそばにあるから」

「……へ?」

説明をする景さんに、わたしはキョトンとする。
すると、彼は微笑んだ。

「作って」

――ズッコケそうになった。てっきり景さんがご飯を作ってくれると思ったのに、わたしがやるんですか!
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