気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
普段一人暮らしで、わたしも自炊はたまにする程度。
できないわけじゃないけれど、美味しいものを作れる自信はない。

「あるもので春ちゃんが適当に作って」

「でも……」

「お腹すいただろ? また音が鳴っちゃうよ」

からかうような景さんを見ながら、わたしは片手でお腹を触った。

マズイって景さんに言われたらどうしようって思っていたけれど、空腹には勝てないし、彼の『作って』と頼るような言い方もなんだかやってあげたくなってしまう。

「……わかりました、作りますよ」

景さんに上手に従わされている感じがして不満だけど、わたしはキッチン台の前に立った。
よろしく、と言った彼は作業部屋へと戻っていく。

味はどうなるかわからないけれど、やるしかない。

わたしはまず、お米を研いで炊飯器にセットし、鍋に水を入れて火をかけ、フライパンも用意した。

豚肉は焼いて、キャベツと卵はスープにしよう。
必要な調味料をすべて取り出す。本当は、市販の焼き肉のタレなどがあるとありがたいのだけど、残念ながらなかった。

醤油と砂糖とみりんがあれば、なんとかなるよね? しょうがのチューブも冷蔵庫に入っていたから使おう。
それから、スープはコンソメ味でいいや。
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