気まぐれイケメン上司に振り回されてます！
服装はビジネスカジュアル、ロングストレートヘアのきりっとした美人で、いかにも“仕事がデキる”雰囲気が漂っている。

誰だろう、賀上さんの知り合いですかね？という疑問を景さんに瞳で投げかけようとしたら、彼は女性の姿に目を見開いていた。

それは単に見惚れているわけではなく、なにかいろいろな感情が詰まっているように感じる。
景さんも、この人のことを知っているの？

「久しぶりね、英介。……それから、景くん」

女性は賀上さんを見ていた二重の瞳を景さんに向けて、名前を呼んだ声が意味ありげに響いた気がした。

それに対して、景さんは女性を見つめたまま懐かしそうに「お久しぶりです」と返す。

――なにかある。直感でそう思って、そわそわした胸の音が鳴りだす。

「やっぱりお前か」

賀上さんはため息を吐くと、呆れたようにそう言った。

「今月日本に戻ってきたのよ。向こうの事務所も上手くいっていて、こっちでも仕事できたらいいなって思ってるの」

「だからって、吉葉の仕事を横からとっていかなくたっていいだろ」

「あら、最初は知らなかったのよ、景くんの仕事だったなんて。わたしは社長に声かけられて、引き受けただけだもの。後からよ、あなたたちの名前を見つけたのは」

悪びれる様子はなく、しょうがないわよね？という態度の女性に対して、賀上さんは「ったく……」と眉をしかめる。
そこに怒りなどは感じず、仕方ない、と思っているように見えた。
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