気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
ターゲットを意識した注意を引きつける色彩、幻想的で好奇心をそそる世界観。
正直、景さんの存在にわたしは一度くじけた。
『こんなに素敵なデザインは作れない』最初は、自分の能力の低さに落ち込んでいたけど、彼と一緒に仕事をしていくうちに、その魅力的なデザインに惹かれて『わたしも、注目してもらえるデザインを作り出したい』と思うようになった。
わたしは誰も知ることのない心の中でこっそりと、景さんで落ち込んで、景さんで向上心を持ったの。
そうしてそばで見ているうちに、気がついたら好きになってしまった。……なんて、『俺のこと嫌いでしょ?』と聞かれてこんなことを素直に答えとして言えるわけがない。
「嫌いっていうか、わたしはエンジンのかからない景さんのお尻を叩いているだけですよ」
「俺、女の子にケツ叩かれて喜ぶ趣味ないよ?」
「っ……!? こ、言葉の文です!」
からかうような調子の景さんに恥ずかしくなったわたしは、頬を熱くさせながら言い返していた。
もう、綺麗な顔をしてこういうことを平気で言うんだから!
「じゃあ俺がキツく叩いてやろうか? 好きになったりして。叩かれるの」
嘲笑交じりの冗談に、通路まで声が聞こえてるぞ、と付け足して開けっ放しにしていたドアから入ってきたのは、ディレクターの賀上 英介《かがみ えいすけ》さん、三十二歳。
アップバングのきりっとした髪型で、大人の男性の雰囲気が漂っている人。
景さんはその姿を見た瞬間、あからさまに嫌そうな顔をした。
「結構です。ていうか、あなたはそうやっていつも女の子泣かせているんでしょ。うわー、サイテー。春ちゃん、そのオッサン危ないからこっちにおいで」
「誰がオッサンだ。お前と四歳しか変わらないだろ」
賀上さんは片眉を上げて、生意気なものを見るようにしながら景さんの言葉を軽く聞き流した。
正直、景さんの存在にわたしは一度くじけた。
『こんなに素敵なデザインは作れない』最初は、自分の能力の低さに落ち込んでいたけど、彼と一緒に仕事をしていくうちに、その魅力的なデザインに惹かれて『わたしも、注目してもらえるデザインを作り出したい』と思うようになった。
わたしは誰も知ることのない心の中でこっそりと、景さんで落ち込んで、景さんで向上心を持ったの。
そうしてそばで見ているうちに、気がついたら好きになってしまった。……なんて、『俺のこと嫌いでしょ?』と聞かれてこんなことを素直に答えとして言えるわけがない。
「嫌いっていうか、わたしはエンジンのかからない景さんのお尻を叩いているだけですよ」
「俺、女の子にケツ叩かれて喜ぶ趣味ないよ?」
「っ……!? こ、言葉の文です!」
からかうような調子の景さんに恥ずかしくなったわたしは、頬を熱くさせながら言い返していた。
もう、綺麗な顔をしてこういうことを平気で言うんだから!
「じゃあ俺がキツく叩いてやろうか? 好きになったりして。叩かれるの」
嘲笑交じりの冗談に、通路まで声が聞こえてるぞ、と付け足して開けっ放しにしていたドアから入ってきたのは、ディレクターの賀上 英介《かがみ えいすけ》さん、三十二歳。
アップバングのきりっとした髪型で、大人の男性の雰囲気が漂っている人。
景さんはその姿を見た瞬間、あからさまに嫌そうな顔をした。
「結構です。ていうか、あなたはそうやっていつも女の子泣かせているんでしょ。うわー、サイテー。春ちゃん、そのオッサン危ないからこっちにおいで」
「誰がオッサンだ。お前と四歳しか変わらないだろ」
賀上さんは片眉を上げて、生意気なものを見るようにしながら景さんの言葉を軽く聞き流した。