気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
賀上さんと峯川さんのやり取りについていけなくて、どうしたらいいのか困っていると、隣にいる景さんが笑った。

「相変わらずですね、礼香さん」

「それはいい意味で言ってる?」

「もちろんですよ」

「ならいいけど。景くんも、飲みにいくわよね? 久々なんだから、いろいろ話をしましょうよ」

「強引に連れていかれるのがわかっているので、無理に断らずついていきます」

「景くんも相変わらずね。返事は『行きます』だけでいいのよ」

目を眇めた峯川さんに、景さんはさらに微笑んだ。
景さん、うれしそうな気がする――。

結局、峯川さんに言いくるめられて賀上さんも行くことになり、わたしも行きますと言った。

景さんと峯川さんがどうしても気になったから。そんな理由でついていくなんて自分でも呆れてしまう。
昔、同じ職場だっただけの関係なのかな? わたしの心の中は、もやもやしたものでいっぱいだった。



「乾杯!」

峯川さんの陽気な声が目立った後、全員でグラスを鳴らした。

四人でやってきたのは、料理もお酒も充実している駅前の和食屋。

内装は和モダンで、テーブル席の個室に景さんとわたし、峯川さんと賀上さんでふたりずつ並んで座った。

そして峯川さんは一番に生ビールを注文して、美人がゴクゴクとそれを飲み干す姿は見ていてさっぱりする。
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