気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
自分は本当に馬鹿だなと思った。
わたしのことを心配して会社に再び来てくれるような人を、自分勝手に避けて距離をとっていたなんて。

景さんは、わかってくれていたんだ。

「すみません……景さん……」

「いいよ、早く作業進めなよ。見てるから」

「すごく心細かったから、うれしいです……」

景さんの優しさと、こうして隣にいてもらえることに安心する。

「必要な資料があったら言って。普段とは逆で、俺が春ちゃんのサポートをする。大丈夫、俺のアシスタントを何度もしている君なら突然のことにも余裕で対応できるだろ」

そう言った景さんは、わずかに口許を緩めた。
ポン、とわたしの頭を撫でて「はい、頑張れ」とわたしを励ます。

とても心強かった。
景さんは、いつもやる気のなさそうな感じで適当なことばかりの自由な人だけれど、なんだかんだしっかりしている。

いつもわたしに注意されているくせに、先輩デザイナーとして頼りになるときもある。

景さんがそばにいてくれて、ほっとしたわたしは作業を再開した。
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