気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
シャワーを浴びてさっぱりしても、菓子パンをかじってみても、やっぱり浮かんでしまう景さんとのキス。
漸く眠れたのは、すっかり夜になってからだった。



そして次の日、変更したデザインは小さな修正はあったものの、無事決定した。

「意外と作業が早くて驚いた」

デスクで校正したデザインを確認しながら、賀上さんは感心したようにそう言った。

「景さんが手伝ってくれたんです。わたし、凄く焦ってしまっていて……景さんがわざわざ会社に戻ってきてくれたので助かりました」

「そうか。仲直りはできたか?」

からかい交じりの言葉に、賀上さんの脇に立っていたわたしは恥ずかしくなってうつむく。

仲直りって……子供みたいだ。喧嘩をしていたわけじゃないのに。

たぶん、避けて気まずかったものはなくなったと思うけれど。
新たな問題が起こってしまったから、夕方になっても景さんのところへ行くことができていない。

あんなキスをされて、どういう顔をして作業ルームに入っていけばいいのかわからないから。

「朝本? どうした?」

「えっ!? あっ、なんでもありません。修正、頑張ります!」

黙り込んでいたわたしの顔を覗いてきた賀上さんに慌てて反応すると、なにを考えていたんだと探るような瞳を向けられて少し焦った。
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